シャドウワーク もっと繊細に自分を自分を見ていく質問 

雨の夕方、あなたは何を考えますか?

――日常の小さな場面から、自分の知らない自分を探すジャーナリングとシャドウワーク

「あなたにとって、幸せとは何ですか?」

そう聞かれると、私は少し困ってしまいます。

幸せとは何だろう。
好きなことをしているとき?

誰かと一緒にいるとき?
安心しているとき?

どれも間違ってはいないのでしょうが、どこかで聞いたような答えになってしまう気がするのです。

「あなたが本当に望んでいることは何ですか?」

「あなたの中にある、認めたくない自分は何ですか?」

こうした問いも、私には少し漠然としすぎています。

そもそも、自分で見えないからこそ、見えない部分なのではないでしょうか。

そこで、もう少し具体的な場面を設定してみたらどうだろう、と考えました。

例えば、こんな場面です。

雨が降っていて、身体がとても重い夕方です。
外はもう薄暗くなっています。

今日は、まだやろうと思っていたことが残っています。

時計を見ると午後五時。
そのとき、一番最初に何を考えますか?

「今日はもう休もう」

「まだ何もできていない」

「何か温かいものを飲みたい」

「誰も私のことを思い出してくれていないんだろうな」

「孤独すぎる」

「明日も雨だったら嫌だな」

同じ場面を想像しても、浮かぶものは人によって違うでしょう。

そして、もう一つ質問してみます。

「そう考えた自分を、あなたはどう思いますか?」

例えば、「休みたい」と思った人が、
その直後に「こんなことで疲れるなんて情けない」と思ったとします。

すると、最初は見えなかったものが現れてきます。

休みたいという気持ち。
そして、その気持ちを認めようとしない自分。

この二つは、いったいどこから来たのでしょうか。

もちろん、すべての人にこうした葛藤があるわけではありません。
「休みたい」と思って、そのまま休める人もいるでしょう。

何も浮かばない人もいるかもしれません。

それでもよいのです。

今回は、こうした小さな場面を使いながら、自分でも気づきにくい心の動きを探ってみたいと思います。

ジャーナリングとは何か

ジャーナリングとは、頭に浮かんだことや感情、考えなどを、紙やノートに書き出すことです。

日記のように一日の出来事を記録してもよいですし、一つの質問に答える形でも構いません。

大切なのは、立派な答えを書くことではありません。
むしろ、答えを整える前に、何が浮かんだのかを見てみることです。

例えば、突然100万円が手に入ったとします。

何を考えるでしょうか。

ラッキーと自分の幸運をまずは喜ぶ。

欲しかったものを買いたい。
貯金しておきたい。

誰かにあげたい。
いいや、誰にも知られたくない。

同じ出来事でも、最初に浮かぶものは違います。

そして、その違いには、自分でも気づいていなかった考え方や感情が現れることがあります。

ただし、最初の反応が必ず本音や無意識の真実を表しているわけではありません。

単なる連想や、その日の気分であることもあります。
ですから、一つの答えで自分を決めつけず、何度か書いてみるのも面白いと思います。

ユング心理学におけるシャドウとは

私たちは、自分自身について、ある程度まとまったイメージを持っています。

私は優しい人間だ。
私は真面目だ。

私は人に迷惑をかけたくない。
私は自立している。

こうした自己像は、自分を理解するうえで大切なものです。

しかし、その自己像に収まりきらない部分もあります。

優しくありたい人の中にある怒り。

自立していたい人の中にある依存したい気持ち。

謙虚でありたい人の中にある、認められたいという願い。

努力する人の中にある、何もしたくないという気持ち。

それらは、必ずしも悪いものではありません。

けれど、自分の理想や、これまで身につけてきた価値観と合わないために、認めにくくなることがあります。

ユング心理学では、こうした自我が認めにくい側面を、シャドウとして捉えることがあります。

シャドウは、単なる悪意や攻撃性ではありません。

怒りや嫉妬だけでなく、弱さ、甘えたい気持ち、喜び、野心、自由への願いなども、自分の自己像と折り合わなければ、見えにくくなることがあります。

また、他者に強い嫌悪や羨望を感じるとき、
その相手に自分の認めにくい性質を投影している場合もあると考えられています。

ただし、誰かを嫌うことが、
必ず自分自身のシャドウを意味するわけではありません。

相手の言動が実際に不適切であることもあります。

シャドウは、他者への批判をすべて自分の問題に置き換えるための概念ではないのです。

シャドウワークに決まった三段階はあるのか?

ここは、少し私的にも、明確にしておきたいところです。

シャドウワークには、ユングが定めた
共通の三段階の手順があるわけではありません。

ユング派の心理療法では、夢の分析、能動的想像法、他者への投影の検討など、
さまざまな方法を通して、意識されていなかった心の側面に目を向けます。

今回紹介する方法は
それらの正式な手順を再現したものではありません。

具体的な場面から自分の反応を観察するために、
一人のカウンセラーが臨床でよく見かける場面から考えてみたジャーナリングの方法です。

なので
一つの場面について、次の三つの問いを使っています。

第一の問い:そのとき、最初に何が浮かびますか?

これは、その場面に対する自然な反応を観察する質問です。

第二の問い:その反応をした自分を、どう思いますか?

ここでは、最初の反応に対して、自分がどのような評価や感情を向けているのかを見てみます。

第三の問い:その場面で、ほかにどんな気持ちや考えが浮かびますか?

最初の反応とは違う感情が現れるかもしれません。

何も現れないかもしれません。

あるいは、身体の感覚や、言葉にならないイメージが浮かぶこともあるでしょう。

第三の問いでは、隠れた欲望や禁止があると決めつけず、別の反応があるかどうかを確かめます。

この三つの問いを使うことで
最初に浮かんだ反応だけでは見えなかったものに気づくことがあるかもしれません。

そして、
もしよろしければクライエントの皆様は
少し引っかかったところをカウンセリングにお持ちいただければ
そこを元に整理してカウンセリングすることも
いいかなと思っておりますので 是非☺️

では始めます

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40の小さな場面から、自分を探る

すべてに答える必要はありません。

気になる場面を一つ選び、ノートに書いてみてください。

1.雨の朝

朝、目を覚ますと雨が降っています。

窓の外は灰色で、部屋は少し暗い。

今日は出かける予定があります。

まだ布団の中にいます。

問い1: 最初に何を考えますか?

問い2: その考えが浮かんだ自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

2.身体が重い夕方

雨の夕方です。

身体が重く、何もする気になれません。

けれど、まだ片づけていない仕事や家事があります。

時計を見ると午後五時です。

問い1: 時計を見た瞬間、何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

3.突然、お金が手に入る

思いがけず、自由に使える100万円が手に入りました。

返済する必要も、誰かに報告する必要もありません。

問い1: 一番最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

4.銀行口座の残高

銀行口座の残高が、思っていたより10万円少なくなっていました。

理由はまだわかりません。

問い1: 最初に何を考えますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

5.誰かが褒められている

あなたがいる場所で、知り合いが褒められています。

周囲の人たちは、その人を称賛しています。

あなた自身には、誰も話しかけてきません。

問い1: その光景を見て、最初に何を感じますか?

問い2: その感情を持った自分について、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

6.自分が褒められる

誰かが、あなたのことを人前で褒めました。

周囲の人も、こちらを見ています。

問い1: その瞬間、何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

7.約束がなくなった午後

楽しみにしていた約束が、相手の都合でキャンセルになりました。

相手は丁寧に謝っています。

午後の予定が、突然空白になりました。

問い1: 連絡を読んだ瞬間、何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

8.返事が来ない

親しい人にメッセージを送りました。

三日経っても、返事がありません。

問い1: 最初にどんな理由を考えますか?

問い2: そのように考える自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

9.誰かから助けを申し出られる

荷物が重く、運ぶのに苦労しています。

そこへ知り合いが来て、「手伝おうか」と言いました。

その人には、今のところ急いでいる様子はありません。

問い1: 最初に何と答えたくなりますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

10.誰にも見られていない休日

今日は一日、誰とも会いません。

電話もメッセージも来ないことがわかっています。

何をしても、誰かに説明する必要はありません。

問い1: 朝、最初に何をしたくなりますか?

問い2: そのように過ごす自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

11.苦手な人が失敗する

あなたが普段から苦手だと感じている人が、仕事で失敗しました。

周囲の人は、その失敗について話しています。

問い1: その話を聞いた瞬間、何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

12.仕事で小さなミスをする

仕事で小さなミスをしました。

まだ誰も気づいていません。

問い1: 最初に何をしようと思いますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

13.一生懸命作ったものへの沈黙

一生懸命作ったものを、誰かに見せました。

相手はしばらく見ていますが、何も言いません。

問い1: その沈黙の間、何を考えますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

14.突然、病気になる

病院で、しばらく治療と休養が必要だと言われました。

日常生活にも、ある程度の変更が必要になるそうです。

問い1: 医師の説明を聞いて、最初に何を考えますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

15.身体が軽い朝

朝起きると、身体がとても軽く、どこも痛くありません。

外は明るく、予定まで時間があります。

問い1: 最初に何をしたくなりますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

16.旅行の前日に熱が出る

楽しみにしていた旅行の前日に、熱が出ました。

荷物はすでに準備してあります。

問い1: 最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

17.静かな夜

何の予定も心配事もない、静かな夜です。

窓の外から、ときどき車の音が聞こえます。

問い1: その静けさを、どのように感じますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

18.夜、玄関の鍵を閉める

夜、家に帰って玄関の鍵を閉めました。

部屋の中には、あなた一人です。

問い1: 鍵を閉めた後、最初に何を確認したくなりますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

19.待ち合わせ相手が来ない

約束の時間になっても、待ち合わせ相手が来ません。

連絡もありません。

問い1: 最初にどんな出来事を想像しますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

20.結果を待つ一週間

一週間後に、大切な結果が発表されます。

今は、結果を変えるためにできることがありません。

問い1: 最初にどんな未来を想像しますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

21.問題が突然解決する

長い間気にしていた問題が、突然解決しました。

もう、そのことについて考える必要はありません。

問い1: 問題がなくなったと知って、最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

22.昔から知っている人が変わる

昔から知っている人が、以前とはまったく違う考え方をするようになりました。

その人は、変わったことを特に気にしていないようです。

問い1: その変化を知って、最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

23.大切な人が相談せず決断する

大切な人が、あなたに相談せず、大きな決断をしました。

あなたは、その決断を後から知りました。

問い1: 最初に何を感じますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

24.頼ってきた人から連絡がなくなる

いつもあなたを頼っていた人から、突然連絡が来なくなりました。

その人が今どうしているのかは、わかりません。

問い1: 最初に何を考えますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

25.友人が欲しかったものを手に入れる

友人が、あなたのずっと欲しかったものを手に入れました。

とても嬉しそうに、その話をしています。

問い1: 話を聞いて、最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

26.高価な贈り物をもらう

誰かから、「お礼はいらないから」と言われて、高価な贈り物をもらいました。

相手は、あなたが受け取ることを望んでいます。

問い1: 最初に何を感じますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

27.生活費の心配がなくなる

一か月間、生活費の心配をしなくてよいことになりました。

その間、特別な義務もありません。

問い1: 明日の朝、何をしたいと思いますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

28.好きな場所に住める

今住んでいる場所を離れ、好きなところに住んでよいことになりました。

仕事や費用の制約は、いったん考えなくてよいものとします。

問い1: 最初にどんな景色が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

29.誰にも見られずに好きなことをする

誰にも評価されず、誰にも見られない場所で、一つだけ好きなことをしてよいと言われました。

時間の制限もありません。

問い1: 何をしたいと思いますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

30.禁止されていたことが、禁止ではなくなる

ずっと「してはいけない」と思っていたことが、実は誰にも迷惑をかけず、今の自分にも危険がないとわかりました。

問い1: それでも、ためらうでしょうか? 何が気になりますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

31.晴れた朝

朝起きたら、よく晴れています。

カーテンを開けると、部屋に光が入ってきました。

問い1: 一番最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

32.散歩の途中で花を見つける

散歩の途中で、とてもきれいな花を見つけました。

周囲には、誰もいません。

問い1: その花を見て、最初に何をしたくなりますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

33.好きな食べ物が並ぶ

好きな食べ物が、思いがけず食卓に並びました。

今日は特別な日ではありません。

問い1: 最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

34.何もなかった一日

一日が終わりました。

今日は特別なことが何もありませんでした。

大きな失敗も、成功もありません。

問い1: その一日を、どのように感じますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

35.洗いたてのシーツ

洗いたてのシーツが、気持ちよく乾いています。

窓から風が入ってきます。

あなたは、そのシーツを取り込んでいます。

問い1: そのとき、何を感じますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

36.お気に入りのお店が閉店する

いつも通っていたお気に入りのお店が、閉店すると知りました。

閉店まで、あと一か月あります。

問い1: 最初に何を考えますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

37.大切なものを壊してしまう

長い間大切にしていたものを、うっかり壊してしまいました。

修理できるかどうかは、まだわかりません。

問い1: 最初に何をしますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

38.十年前の日記を見つける

十年前の自分が書いた日記を見つけました。

表紙には、当時の日付が書いてあります。

問い1: 最初にどのページを開きたいと思いますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

39.今の暮らしが続く

今の暮らしが、これからも長く続くと想像してみてください。

特別な出来事は起きません。

日々の生活が、同じように続いていきます。

問い1: 真っ先に浮かぶのは、どんな場面でしょうか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

40.美しい夕暮れ

一日の終わり、窓から夕焼けが見えています。

特別な出来事はありませんでした。

部屋は静かで、今すぐしなければならないこともありません。

問い1: 夕焼けを見て、最初に何が浮かびますか?

問い2: その反応をした自分を、どう思いますか?

問い3: ほかに、どんな気持ちや考えが浮かびますか?

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シャドウは、見つけてからの取り扱いが大切

ここまでの質問に答えていくと、自分でも意外な感情が現れることがあるかもしれません。

例えば、誰かが褒められている場面で、嫉妬を感じたとします。

あるいは、誰かから助けを申し出られたとき、嬉しいよりも先に、申し訳なさが浮かんだとします。

そんなとき、私たちは、その感情をすぐに評価してしまうことがあります。

「嫉妬するなんて、嫌な人間だ」

「助けてもらうのが苦手なんて、素直じゃない」

「休みたいなんて、怠けている」

しかし、ここで自分を裁いてしまうと、どうなるでしょうか。

せっかく見つかった感情が、再び隠れてしまうかもしれません。

シャドウを見つけた途端に罰してしまうのなら、シャドウワークそのものが、新しい自己処罰になってしまいます。

私は、ここがとても大切だと思っています。

シャドウは、退治するものではありません。

けれど、だからといって、すべての感情に従えばよいということでもありません。

嫉妬を感じたからといって、相手を傷つける必要はありません。

怒りを感じたからといって、相手に怒鳴る必要はありません。

誰かに甘えたいと思ったからといって、相手に無制限の負担を求める必要もありません。

感じることと、行動することは別なのです。

感情を認めることは、その感情に支配されることではありません。

むしろ、感情があることを知ることで、どのように行動するかを選びやすくなる場合があります。

シャドウとの付き合い方――五つの視点

1.まず、名前をつけてみる

自分の中に現れたものを、できるだけ簡単な言葉にしてみます。

「羨ましい」

「悔しい」

「怖い」

「甘えたい」

「何もしたくない」

立派な説明をする必要はありません。

言葉が見つからなければ、身体の感覚やイメージでも構いません。

2.その感情を、人格の評価に変えない

「嫉妬している」と「私は嫌な人間だ」は、同じではありません。

「休みたい」と「私は怠け者だ」も、同じではありません。

一つの感情や願いから、自分という人間全体を決めつけないことです。

3.その感情は、何を知らせているのか

嫉妬の中には、自分も何かを望んでいるという手がかりがあるかもしれません。

怒りの中には、大切にしている境界を侵された感覚があるかもしれません。

寂しさの中には、誰かとつながりたいという願いがあるかもしれません。

ただし、感情には必ず一つの隠れた意味があるわけではありません。

意味を急いで決めず、いくつかの可能性を考えてみます。

4.今の自分は、どうしたいのか

感情が生じたことと、その感情に従って行動することは、別の問題です。

怒っているけれど、今は話し合わない。

羨ましいけれど、相手を祝福する。

甘えたいけれど、相手の都合も尋ねる。

そのように、自分の感情を否定せず、現実の状況も考えながら選ぶことができます。

5.同じ場面で、もう一度観察してみる

一度のジャーナリングで、すべてがわかるわけではありません。

同じ質問に、一週間後や一か月後に答えてみるのもよいでしょう。

答えが変わっていることもあれば、変わらないこともあります。

どちらも、自分を理解する手がかりになると思います。

シャドウを認めると、自分が変わってしまうのだろうか

シャドウワークには、もう一つ難しいところがあります。

それは、これまで認めてこなかったものを認めることで、自分が自分でなくなってしまうように感じる場合があることです。

例えば、

「私は優しい人間だ」

と思ってきた人が、自分の中に強い怒りを発見したとします。

すると、

「こんな怒りがあるなら、私は本当は優しくないのではないか」

と思うかもしれません。

けれど、優しさと怒りは、必ずしも矛盾しません。

人を大切に思うことと、その人に腹が立つことは、同時に起こり得ます。

また、自立していることと、誰かに頼りたい気持ちを持つことも、必ずしも矛盾しません。

人間は、一つの性質だけでできているわけではないのです。

シャドウを認めるということは、それまでの自分を否定することではなく、自分についての理解を少し広げることなのかもしれません。

自分の中の禁止は、誰が決めたのだろう

ジャーナリングをしていると、繰り返し現れる言葉があるかもしれません。

「そんなことをしてはいけない」

「わがままだ」

「情けない」

「恥ずかしい」

「そんなことを望むべきではない」

もし、こうした言葉が現れたら、少し立ち止まってみます。

それは、誰の言葉に似ているでしょうか。

いつ頃から、そう思うようになったのでしょうか。

そして、今の自分も、その言葉に従い続けたいと思っているのでしょうか。

ここには、精神分析でいう超自我の働きとも重なる問題があります。

かつて外側から与えられていた禁止や評価が、いつの間にか自分自身の内側から生じるようになる。

すると、誰も罰していないのに、自分で自分を罰することがあります。

シャドウワークでは、隠れた欲求だけでなく、それを隠さなければならなくなった理由にも目を向けることができます。

ただし、禁止をすべて取り払うことが目的ではありません。

他者を傷つけないための倫理や、現実的な責任もあります。

大切なのは、今の自分に必要な判断と、過去から引き継いだ禁止を区別してみることです。

シャドウを認めることは、何でも許すことではない

シャドウを受け入れるという言葉は、ときに誤解されることがあります。

怒りを受け入れるなら、怒りを表現しなければならない。

欲望を受け入れるなら、その欲望を満たさなければならない。

そんなふうに考える必要はありません。

自分の中にあるものを認めることと、それに従って行動することは別です。

例えば、誰かを傷つけたいほど怒っていることに気づいたとします。

その怒りを持つ自分を、ただちに悪人だと決めつける必要はありません。

しかし、だからといって、相手を傷つけてよいわけでもありません。

その怒りがどこから来たのか。

何が自分にとって耐えがたかったのか。

どのような距離を取ればよいのか。

どのような形で伝えればよいのか。

そうしたことを考える余地が生まれます。

シャドウを認めることは、衝動を正当化することではありません。

自分の内側にあるものを知ったうえで、現実の中でどう扱うかを選ぶことなのです。

自分の見えない部分を、無理に暴かなくてもよい

最後に、もう一つ大切なことがあります。

シャドウワークというと、自分の中にあるものを、できるだけ深く掘り起こさなければならないように感じるかもしれません。

しかし、必ずしもそうではありません。

自分の中にあるものが、まだ言葉にならないこともあります。

ある感情に触れると、強い苦痛や身体反応が生じることもあるでしょう。

その場合は、無理に続ける必要はありません。

ジャーナリングは、心の深い部分を強制的に開くためのものではないからです。

答えが出ないことにも、意味があるかもしれません。

けれど、その意味を急いで探さなくてもよいのです。

必要であれば、信頼できる専門家と一緒に考えることもできます。

最後に――自分の中に、まだ知らない自分がいる

今回の質問に答えた後、もし余裕があれば、最後にこんな問いを自分に向けてみてください。

「今日の答えの中で、私が一番、認めにくかったものは何だろう?」

そして、もう一つ。

「それを認めたら、私はどんな人間になってしまうと思っているのだろう?」

例えば、

「嫉妬していると認めたら、嫌な人間になってしまう」

「甘えたいと認めたら、弱い人間になってしまう」

「何もしたくないと認めたら、怠け者になってしまう」

そんな答えが浮かぶかもしれません。

でも、嫉妬を感じることと、嫌な人間であることは同じでしょうか。

甘えたいと思うことと、弱い人間であることは同じでしょうか。

何もしたくない日があることと、怠け者であることは同じでしょうか。

こうした問いを重ねていくと、自分が自分自身に向けてきた評価にも、少しずつ気づくことがあります。

自分の見えない部分を知るということは、必ずしも、隠れた本当の自分を一つ発見することではないのでしょう。

むしろ、自分について決めつけていたことが、少しずつ揺らいでいく。

「私はこういう人間だ」

と思っていたものの外側に、まだ知らない自分がいることに気づく。

そんな体験なのかもしれません。

シャドウワークは、自分の嫌なところを探して罰するためのものではありません。

自分の中にあるものと、これまでとは違う関係を結ぶための試みです。

雨の日には、雨の日の自分がいる。

晴れた日には、晴れた日の自分がいる。

どちらか一方だけが、本当の自分というわけではないのでしょう。

自分の中に、まだ知らない自分がいる。

それを、急いで変えようとせず、少しずつ知っていけたらと思います。